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遂に決勝戦。新世代の波が押し寄せ、そのうねりの中で生まれた第三回SSSGPの頂点を決める試合です。
今回のSSSGPは、長い間防衛戦を行わなかったことでベルトを剥奪された
“絶対王者”川島千愛選手のもっていたSSS無差別級ベルトを授与されるとあっていつもより特別なものとなりました。
皆様ご存知のとおり、今回は業界を牽引するレジェンドや現役女子プロレスラーが
参戦する中で勝ち抜いた決勝ですから、今の業界の最強と呼ぶに相応しい二人だと思います。
予想通り、凄まじいレベルで行われた決勝は歴史に残る勝負と断言できます。
今年の4月にSSSGP特設ページにも記しましたが、改めてこの素晴らしい企画を進められたことに感謝致します。
皆様の支えあってのグランプリ。本当にありがとうございました。

さて、試合内容ですがまずは「中居ちはる」選手。
B−1トーナメント決勝の事件からSSSへ闘いの舞台を移し、遂に辿りつきました。
因縁ある日高ゆりあ選手も出場し、タイトルを獲得したSSSGP決勝。
彼女にとって、ここで勝つことが、日高ゆりあ選手ともう一度闘う為に必要な大きな意味だと感じているでしょう。
重要な決勝戦前インタビューでは今にも泣きそうな雰囲気でのぞみ、その覚悟を漂わせていました。
一方の「七瀬ゆい」選手は、デビューからレジェンド含むTOP選手を次々に撃破。
しかも圧倒的な実力を見せての勝利ばかりが目立つ“怪物”です。
一回戦の国見選手を褒め称えるも、準決勝では消化不良を公言。
決勝では自分を楽しませてくれるようにとの余裕の表情が実力を感じさせます。

試合は開始早々から七瀬選手の強烈な投げ、中居選手のドロップキックや
ボディプレスといったそれぞれの持ち味が飛び交い、
お互いの手の内を見せ合いながら試合が進行していきます。
しかし、七瀬選手の攻撃は一つ一つがすでに必殺技級な上、
フィジカルにも大きな差があるので、徐々に中居選手の分が悪くなっていきます。
受けの技術が非常に高い中居選手とはいえ、七瀬選手のスープレックスは恐らく業界最強。
あの国見選手を葬り去ったのは伊達ではありません。
中居選手といえば、相手の技を受けきった後に逆転するスタイルで勝ちあがってきた選手。
今回は七瀬選手の技を受けきれるかが焦点でした。
予想外にスタミナを奪われ、早い段階で逆襲に転じるしかなくなり、
無理矢理にでも連続攻撃をしかけ泥沼に引き込もうとする中居選手に対し、そこでも踏ん張る七瀬選手。
七瀬選手も、いつも自分の圧倒的な攻撃でねじ伏せることが出来た過去と違い、今回は何度も立ち上がる中居選手に驚愕を隠せない展開。
お互いのペースを崩された形となった両者は極限の攻め合いへと発展していきます。立っているのが精一杯なくらいに・・・。
当たり前のように大技が飛び交い、そして涙を流す程感情が高ぶり、完全な優劣がつく。
実力派同士だからこそ決着した時の喪失感は凄まじく、逆にトーナメント含め
長丁場の頂点の終焉は達成感にも似た感覚を見る側に覚えさせます。
勝者は一人ですが、この舞台に立った猛者二人は本当によく闘ったと思います。
過去遡っても、ここまでクオリティの高い試合は滅多にありません。
SSSGPの価値をまた一つ高め、不動のものにしたのではないのかと思います。


決勝にも特別試合が収録されています。
SSSのエース「国見奈々」vs現役女子プロレスラー「安藤あいか」選手です。
文字通り“裏”決勝と呼ばれるに相応しい、超実力派対決!!決勝でこのカードを見たかった方も多いのではないでしょうか?
両者共にトーナメントではすでに敗退しているものの、
過去の試合は引きずることなく向かう姿勢をみせ、珍しくお互いの実力を認めた上で試合にのぞみます。
試合展開は安藤選手の投げを中心とした圧倒的な攻撃を受けつつも、
国見選手が足4の字固め、シャイニングウィザードなど得意技で返していく展開。
現役レスラー相手にテクニカルな部分で迫る国見選手の技術力は本当に素晴らしいです。
軽量級のSSS流プロレスの教科書と言ってもいい国見選手の闘いが、
ひと回り以上も体格が上の安藤選手に通用しているのを見ると感慨も深く、
これまでの闘いが無駄ではないこと見ることができるでしょう。
途中、安藤選手が繰り出したスタンディングからのアルゼンチンバックブリーカーや
弓矢固め等は、いわゆる「シュート」を仕掛けてきておりプロレスラーの本気の怖さを覗かせます。
そこまで引き出せる国見選手の懐の深さは素晴らしいですが、
受けきれる許容を超えた攻撃は確実に国見選手を追い詰め、ボロボロに・・・。
しかし、受けるだけが国見選手の魅力ではありません。
隙をみて攻撃に転じる展開力で自分のペースに持っていき、安藤選手を攻め立てます。
そして安藤選手に余裕がなくなり、決着はどう転ぶかわからなくなるまで進んだ後、決着は疑惑をもって訪れました。
準決勝Bで起こった事件は、因縁を生み、そして今度は安藤選手という戦力を基準として、もう一つの疑念が生まれました。
それでは誰が誰に対して強いのか?それはジャンケンの様なものかもしれません。
各選手ごとの立ち居地を決める上でも、この決着は一つ疑問を投げかけるものとなりました。
決勝に上がれなかった選手が弱いのか?いいえ、SSSGPはそんな低いレベルではありません。
国見選手は強い。その事実は試合を見れば理解するでしょう。
国見選手優位の姿は決勝に上がった中居選手でも成しえなかった光景であり、安藤選手の“底”を割るものでした。
今後の試合も含め、トップファイター達の見せる因縁絡む闘いにご注目頂ければと思います。
SSSGPが終着駅ではないことを今一度ご理解頂ければと思います。


ベルトの価値はその行ってきた闘いの歴史だと僕は思います。
名選手が重ねてきた闘いの結晶がベルトであり、思いが刻まれたものだと。
SSS無差別級ベルトを暫定的に第三回王者へ授与することは、過去を振り返れば当然の成り行きだったのかもしれません。
と・・・ベルトの重要性を説きましたが、ベルトは一つの符号、
最終的には“人”だと僕は思います。それが許されるのがプロレスだとも・・・。
今後訪れるであろう、ベルトを賭けた流れを安易なものにはしたくないですね。

第三回SSSGP。これほどの規模の闘いは今後難しくなると思います。
僕が考えるSSSの歴史の節目まであと少し。
ほんの僅かばかりお付き合い頂ければ幸いです。

ありがとうございました。



2011 11/11 C.Ronald